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僕ら× 1st.

第21章 健闘 --Ar,Thk,Kn,Shu

~本條柊side~

このところの昼は、校門から出た横の石垣で休む。
女のコからの玉ねぎ弁当攻めに懲りたアルが、教室を出たがっていたから。

「おう、吉坂。余裕だな」

俺たちのあとを門から出て来た優男が、話しかけてくる。

アルは気にせず鞄から昼食の入った袋をガサガサと取り出した。

俺はヤツの横に座り込み、ボトルの茶をくいっと飲んで見守る。

「速水伊織って、お前の弟だったんだ?あいつ、何でセラなんかになびいたんだ?もしかしてお前が紹介した?」

男をキロッと睨むも、無言で膝に置いたサンドイッチのカットテープをチーっと開ける。

「兄弟で三角関係だったんだな」

その台詞に、これから食べようとしていた三角の頂点をつつきだした。

「俺、花野ちゃん、イオ…さ、どっから食べるかな?ピタゴラス」

おかしなこと呟き始めたよ…。

「諦めるの無理だったって、力任せに奪ったわけでもないんだろ?」と茶髪男は尋ねてくる。

アルはサンドイッチを半分に折り、真ん中からかじって男に見せる。

「ほら、三角の中にも丸は作れるんだぜ?サンドイッチにできて俺にできないわけねぇだろ?」

折ったサンドイッチを広げて満足そうに話す。

アル……言ってること、わからない訳じゃないけど、わからねぇ。

「お前は自分の取り巻きたちと仲良くしとけばいいのに。……先週、抱き締めてたけど、まだつきあってないんだろ?」

アルは、サンドイッチを全部口に入れた。

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