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僕ら× 1st.

第21章 健闘 --Ar,Thk,Kn,Shu

男に人差し指を突きつける。

「なあ、お前。花野ちゃんと親しいの?」

尋ねられると、胸元のクロスを光らせながら、その男は言う。
「お前が邪魔しなきゃ今頃は、俺の彼女だったかもな」と。

……アルが何かしたのか?
それで花野ちゃんに逃げられたか。
伊織もこいつの存在は気にはしていたけど。

アルは「あー……」と思い返しているようだった。
心当たり、あるんだ…。

「それはツイてなかったな。俺もさ、最近思うよ。お前には悪ぃことしたかもって」

…こいつは、思うだけで反省なんてしてねぇと思うけどな。

「よっく言うよ。まあ、教えてやる。こないだの放送で釘を刺したんだろうけど、お前を支持する女子の中には感情の激しいのも混じってるから、気をつけろよ?特に、ネーゼのお嬢は何をするかわからんぞ?」

「ネーゼ?…ああ、わかった……なぁ、悪ぃけど。お前、誰?」

!誰か知らずに喋ってたのか?

「はっ。まぁ、同じクラスだったのは中1ん時だからな…。栗田だよ。花野ちゃんを傷つけるくらいなら手を引けよ?」

「そっか。栗田、ありがとうな」

栗田、女子連中に顔が利くからなあ。
それに、アルを窺いながらも教えに来てくれたんだ…。
イイヤツじゃねぇか。

先程のサンドイッチ会話が、どう成り立ったのかイマイチわかんねぇけど。

俺は栗田が門に入っていくのを眺めながらアルに言う。

「ネーゼって……。あのナッツ大量女か?確かに何をするかわからねぇな」

アルは、後ろのフェンスに体重を預けて飛行機雲が交差する空を見上げた。

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