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僕ら× 1st.

第3章 2人の証 --Ior,Hzm

「アル、お前って彼女いないの?」

口の悪い明朗活発人間、思ったことを臆せず喋るこいつはいったいどんなことで悩むんだろう?

「そんなのいねぇよ」

やっぱりか、その粗暴さは折り紙つきだしな。
そういえばこいつ、柊と違って浮いた話全然聞かないな。
これだけ顔とスタイルがいいんだ。
女のコからアプローチくらいあるはずだけど。

「好きなコは?」

俺は、好奇心のおもむくままアルに質問する。

「いねぇ」

これも、やっぱり予想どおり。

「好みとかないの?」

聞くだけ無駄かもしれないが…。

「涙が出ない女がいい」

意味不明な返事が返ってきた。
涙が出ない女?

「なんだ?それ」

「女ってフツーに喋っただけで泣くだろ?まわりから非難されて俺、立場ねえ」

絶対に王子様的な会話はできない、できるはずないとは思うけど、喋っただけで泣く?
格闘バカだから?
…そういや、趣味は機械いじりっつってたな。
余計ダメだろ?

「それは、お前のフツーの喋りがまずいんだろ?優しさ皆無なんだろ?」

自分の対応の悪さを指摘されても、どこ吹く風で、アルはヒラヒラと手を振って柔軟体操を始めた。

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