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僕ら× 1st.

第24章 グレートホール --Thk,Ar,Tk

「そんなこと、ないよ?嬉しいよ?」

ニコッと花野が吉坂に優しい笑顔を見せる。
よかったやん、吉坂。

調子づいた吉坂は、居松に向き直る。

「っふっ。祐一朗つったか?」

「そうだよ、アル兄」

アル兄?
初対面よね?

「俺のいねぇ間、花野のことよろしくな?副部長ってお前だろ?」

「そんなのあんたに頼まれなくたって」

むすっとする居松に、遠慮を見せる花野。

「侑生君。私、そんなにヘマばかりしないから、心配しないで?……ん!」

吉坂は、いきなり花野に唇を合わせた。
数秒で離すと、花野を見つめてこう言う。

「…心配だよ。いつだって心配」

みんなの前でキスされた花野は、もう真っ赤で。

「居松。宮石が可哀想だから、あんまアル兄に絡むな?」

呆れた晄志が居松に注意する。
吉坂に言っても無駄だってわかってるんやね。

そこへ吉坂が尋ねる。

「晄志。こいつ知ってんの?」

「中学の時は俺らサッカー部だったもんな?」

ああ、先パイ後輩なんね。

「はい。依田先パイは尊敬できる男です。全てにおいて…。アル兄も見習ってください」

「お前、どんな教育こいつに施したんだ?」

それ、速水の兄のあんたにも言ってやりたいわよ。

「知らないよ。普段の行いがモノをいうんだよ。だいたいアル兄はさぁ……」

と、晄志は優しく吉坂を諭し始めた。

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