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僕ら× 1st.

第25章 in WL --Shu,R

***

「すぐ人目を気にすんだよ。悪ぃことしてるわけでもねぇのに」

「アル兄、何をしてたんです?」

「ハグとキスだけ」

「だけって…そりゃ気にするんじゃないですか?」

最近の夕食には小柴んとこの坊主が時々顔を出す。
俺たちの1つ下の孝明は、賢いが生真面目で謀略にはあまり向かないタイプと見えるんだけど。

孝明が入る半年程前に入ったイドリース・ハーディは、この夏に初めて対面したけど、無愛想な髭面男だった。
孝明より歳上の小柴の腹心。

もともとはルウイの下にいたらしく、浅黒い顔で挨拶された時は、その国際的な守備範囲に言葉をなくした。

まあ、この屋敷に出入りする連中は、個性的な輩の集大成だからな。

「こないだは初めての夜デートなのに、もうすっげ拒否られたんだよ」

ああ、サマフェスの帰りに家まで送ったあれな。

「路上だったんでしょう?」

「でも、ほとんど人いねぇし。暗かったし」

「ほとんどってことはいたんですよね?」

「いたっけ?」

おとぼけ男が、俺に振ってきたので答える。

「俺とリースがいた」

「リィ兄が行ってたんですか」

「ああ、ポプラの向こうで塀の上に座って見てたよ」

「塀の上?」

「そんな目立つことしても、目立たねぇのはあいつの利点だな。それにお前、強引にしてたじゃねぇか」

「花野ちゃんね、俺のこと好きだから許してくれんの」

結局はノロケるアルに「やりすぎない方が…」と孝明も苦笑した。

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