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ウサギちゃんとオオカミ少年

第1章 ストーキング


「別れて欲しい」
新谷君が彼女に頭を下げている

「なんで!?」

「君の事より優先したい事が増えたから…かな。うーん、彼女イコール大切な存在が良いんだよ俺。そうじゃないのに、いつまでも付き合い続けるのとか…出来ない」

「好きな人が出来たんじゃないなら嫌!今のままで私、大切にしてもらってるモン!」

「今は彼女だからねぇ…。そりゃ優先するでしょ…?」

「ちょっとくらいなら…ほっとかれても良い!最後に私の所に帰って来てくれたら…。キット頑張れる」

「頑張る所間違ってるよ…。ってか…。この日本語が通じない具合も限界なんだよ本当言うと…。ぁっ。気になる子なら居る!フィンの帽子かぶった子」

僕の事じゃないか!?
しかも、新谷君のカウンター増えてないって事は嘘じゃない!!

「ウサギちゃんの事?じゃあ告白して。もしもOK貰えたら…別れるぅ…」

「はぁ…。」
新谷君は溜め息をつきながら携帯を取り出し自分のフェイスブックに呟いた。

『泉野高校2年のウサギ耳の帽子被った子を追跡中! 報告はコメじゃなくてメールくれ!ヨロ』
投稿した途端、新谷君の携帯が鳴り止まない。

ココに僕が居るって事が、皆にバレてる!?何で?何でこんなに沢山メールが来るの?
僕は、ビックリしすぎて思わず立ち上がってしまった。

ガサガサッ!
…本末転倒だよ僕ってもぉバカッ!!

「あっ…居た…。」

『メッケタ ありがとう 協力者に感謝』
この投稿からしばらくして、新谷君の携帯が鳴りやんだ。

「そこに居たなら聞こえてた?その方が話が早いや、俺と付き合ってみない?とりあえず、茂みから出てきたら?クスッそんな所に居るからウサギちゃんって言われてるんじゃない?」
そう言って笑いながら新谷君が僕の側まで来て、胸の前で両手を合わせ僕に頼んでいる。

新谷君の少し後ろには、僕の知る限り29人目の彼女さんが鬼の形相でこちらを見ていた。

僕はコクりと頷いた。


 

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