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ウサギちゃんとオオカミ少年

第5章 始まり


「僕…付き合うとか…よく分からないよ…しかも男子って…」

「俺もよく分からない…これから、お互いを知っていけば良いんだよぉ。まずは、この帽子の中はフィンと一緒で金髪のロン毛?」
そう言って僕の帽子を取った時メガネがずれて落ちそうになった。

「あっ!ゴメン…あれ?このメガネ度が入ってないねぇ?」
そう言って新谷君がメガネを掛けた。

「わぁわぁー!ダメだよぉ見ないでぇ~」
僕は頭を抱えて後ろを向いて小さくなった。

「ゴメン!ゴメン!そんな怒らないでよ返すから」
新谷君はメガネを返そうと、僕の肩を掴んで謝ってくれた。

返して貰ってメガネを掛けてみたら、もう嘘つきカウンターが見えなくなっていた。僕は不思議に思ってクルクル回してキズをさがしたり、何度も掛けたり取ったりしていた。

体操座りしている僕を、いつの間にか長い足で囲って正面から抱き締めるみたいに新谷君が座っている。帽子でへこんだ僕の髪を、新谷君は指で何度も鋤いていた。新谷君は僕の顔を覗き込んでニコニコと微笑み掛けてくる。僕は、生唾を飲んで頑張って微笑み返した。

「楽しい?俺は──…名前…名前何て言うの?」
急に真顔になる新谷君

「僕の名前は天野照(あまのてる)…です」

「俺の名前は新谷アタル(あらたにあたる)。改めてよろしくテル君。メガネで遊んでるの楽しい?俺はテル君見てて美味しそう…じゃなくて、見てて楽しいょ。誰かと居て、こんなに楽しくて落ち着いて居られる事って無いかも…」

あぁ…僕はこんなにドキドキした事って今迄無いかも…。

「え?…あれ?…しんたに君じゃないの?」

「あぁそれ、あだ名って言うか『あらたに あたる』って運が良くないといけない気がするし、マンガに出てきそうで……どっちで呼ばれても返事してたら皆にしんちゃんって言われる様になったんだ…俺の事はなんて呼んでくれても良いよ」

「じゃあ…アタルくん?…本当に僕達付き合うの?」

「何でもヤってみなくちゃ分からないだろ?」
そう言ってアタル君は、また瞳をギラリとさせた。この瞳を向けられると催眠術にかかったみたいに、体の自由を奪われる感覚に成る。そして空気が張り積めて目が放せない。

僕はコクりと頷いた。


 
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