後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第9章 詫びのしるし
“ となると、少し時間が空くわけか ”
11時まであと40分。
わざわざ事務所に戻るには微妙な時間。
「休憩にしましょうか。どこかカフェに入る?」
「僕はどちらでも構いません」
「そうね店を探すのも面倒…──ああ、あそこのコンビニに停めようかしら」
ちょうどよくコンビニが現れたので、私はそこに車を停めて時間をつぶすことにした。
駐車場には他の車がほとんどなく
混んでいるわけじゃないから…許されるだろう。
店の入り口から離れた場所に駐車して、私は車を出る。
「珈琲を買ってくるわ。君は…──」
「いえ、おかまいなく」
「こういう時は甘えていいのよ後輩らしく。ブラックでいいわね」
「ありがとうございます」
助手席の葉川くんに確認してから、中の冷気が逃げる前にとっととドアを閉めた。
そういえば葉川くんは珈琲に詳しかったわね。
もしかしたらコンビニの珈琲は不味くて飲めないとか…そんな可愛いげのない舌の持ち主だったりして。
いやいや、まさか。
二十四歳にしてそれは老けすぎでしょう。