後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第12章 変われない
《 動揺されなかったのがショックで… 》
動揺して取り乱して、仕事の電話を放り出して引き止めればよかったの……?
《 もっと甘えて欲しかった 》
いったいどう甘えたら……
私は彼から自信を奪わずにすんだの?
“ …わからない、私は ”
わからない。私はやっぱり他の女の子とは違うのだろうか。
隙なんてできるなら誰にも見せたくない。昔からそんなふうに振る舞うのが当たり前だった私は……
変われない私はこのまま一生……ひとりで生きていくしかないのだろうか。
「──…ッ…あ!」
黒くなったオフ画面を意味もなく眺め歩いていると、向かいから現れた誰かと正面衝突をしてしまった。
こちらの歩調はかなりスローだったが、相手側にはスピードがあり──
私と同じように前方を見ていなかったのか、少しも避けるそぶりがない。
グラ...
“ しまった…ッ ”
突然後ろに移動した体重は、私の細いヒールで支えるには勢いがありすぎた。
スマホは手から滑り落ち
ぐらついた身体が斜めに倒れる。