後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第14章 消去と諦め
着替えを始めた葉川くん。
私もそれに習って、スマホを置き、ソファの背にかけていたズボンを身に付けた。
“ これで良かったのかしら ”
啓輔の連絡先は消去された。
もとよりそれ自体に大きな抵抗があったわけじゃない。
ただこの行為によって、もっと大きな何かを…私自身が捨てることになっていた。
のに、葉川くんが代わりに消してしまった。
彼に消させることによって、少し意味合いが変わってしまったような気がする。
それで本当に良かったのか。
「──…」
「先輩? 早く仕度をすませないと服を取りに帰る時間がなくなりますよ」
ベッド脇でガウンを脱いだ葉川くんの裸の背中を、私は無言で見つめるしかなかった。
掠れていた彼の声はもう回復していて
眠そうだった彼も、どうやら既にはっきりと目を覚ました後のようだった。
──…