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後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~

第20章 貴女が涙を流すなら


食事を終えてカフェを出る時、会計のことで私たちはごたついた。

葉川くんがまとめて払おうとしたので、いやいやそれは逆でしょうと私が反対して…

で、店に迷惑をかけられないので結局は別会計にしたのだけれど。


「──…私が払うからいいって言ってるのに」


カフェから事務所に戻る道中も、私と葉川くんの意見は食い違っていて。


「君に払わせるつもりなら、サラダからヒレカツに勝手に変更しなかったわよ」

「変更したのは僕にとって正解でした。おかげで…先輩に食べさせてもらえるという特典付きでしたからね。あ、特典なんて失礼でしたか?」

「…べつに失礼じゃないわ。──…って違う、私が言いたいのは…っ…えーと、つまり」


食事中に繰り広げてしまった " らしくない " スキンシップ? は思い出すだけで赤面もの。

だからあまり掘り返さないでほしい。

事務所の入り口に向かってスチール製の外階段を上りながら、私はいつにも増してヒール音が大きくなった。


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