後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第21章 終章~この身勝手な小悪魔と~
私だって嬉しいのよ?
君と初めて組んだこのコンペ…。最高の賞をもらえたんだもの。
「君のアイデアが褒められてたわよ。足湯を使った湯気の演出。それがどこまで実現できるかはこれから話し合わないといけないけどね」
「いいえ、僕はアイデアを出しただけで、それに形を付けて下さったのは季里さんですよ」
「はいはい」
お互いの称え( タタエ )合いが始まったところで、私は自分のデスクに向かった。
そこに置いている鞄から財布だけを取り出し、共用デスクの前で立っている葉川くんに振り返る。
「今からお昼を食べに行くわ」
さっきまで弁当ですませるつもりだったけど、たった今それをやめた。
「一緒に行く? 祝勝会でもしましょうか」
「いいんですか?」
「それとも夕食の時がいいかしら」
「夕食に……ああ、そっちのほうがいいですね。時間もたっぷり取れますし」
「そうね」
葉川くんが共用デスクを回り込み、自分の席に荷物を置いた。
つまり私の隣のデスクに。