後輩くんの挑戦状 ~僕に惚れてもらいます~
第21章 終章~この身勝手な小悪魔と~
フゼア系の香水。
普段から仄かにまとっている若者らしい爽やかな香り。それが外出直後の今は汗とまじり、洗練された男の色気を匂わしてくる。
それに少しクラリときたことは、言うまい。
「ん…っ」
彼に自分をゆだねたくなる
この瞬間を……
私はこれから幾度となく、繰り返すことになるのでしょうね。
ただ今はそれより先に聞いておきたい事があって、私は彼の唇を手でさえぎる。
「待って」
「…何をですか?」
「教えてほしいの」
キスをさえぎられた葉川くんは、代わりに掌に軽く唇を当ててから顔を引いた。
「君が藤堂さんと交わした賭けのことよ」
「……」
「君が勝負を持ちかけたそうね? 私を独立させて、自分の事務所を持つ手助けをしてほしいって」
「…そして、僕は賭けに勝ちました」
例の賭けの話を持ち出すと、葉川くんが得意げに笑う。