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WーWING

第8章 うらはら

「ただいまぁーっ!!」


 美晴が帰ってきた。


「おーい、おかえり」


 2階から声をかける。


「あ、兄貴2階にいるから、いこうよ」


 相手の女子がいるようだ。


 二人の足音が近付いてくる。


 隼斗は机にさりげなく向かい、別に楽しみにまでしてないよアピール。


 本当は、かなり緊張してドキドキしていた。


「兄貴、連れてきたよ」と美晴が、扉を開ける。


「んっ」


 普通に顔を向けた。


「すいません、お邪魔します」


 美晴の後ろから、相手の子が顔を出した。


 ちょうどいい感じのブスだった。口が小さく、鼻が上を向いている。


 とても、呼吸がしやすそうだ。


 おまけに、少し目が垂れている。


 だが、女子には間違いない。


「あ、こんにちは、はじめまして」


 隼斗は軽く会釈した。


 だが、相手の顔が曇り出した。


「え……お兄さん?」


 なにか、違うと言いたげの様子。


「え、そうだよ。私の兄貴、どうして?」


 美晴が言うと、相手の子は苦い表情を見せた。


「いや……ちょっ、とぉ……」


 嫌そうだ。

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