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WーWING

第10章 男の約束

 すべてのカリキュラムを終え、親密になった二人。


 学校では、いろいろな嫌がらせを受けたが、向かい合って貫き通した。もはや、迷いはない。


 やがて、周りからは冷ややかな目では見られているものの、批難や中傷は無くなった。その分、誰も話しかける者もいなくなった。


 ふと、一人になった時、思うことがある。


(あれ? 自分はなにをやってんだろ……)


 自分の中のなにかが、霞んできているようだ。


 優雅は相変わらずだ。だが、WーWINGのふれあいは少なくなった。普通の男友達としての、付き合いにはなっている。時々だが、顔を合わすこともあり、隼斗から誘いに行ったりすることもあった。


 だが、あの夜の営みはなんだったんだろうか?


 すべてが終われば、それでいいのか?


 結果はなにも出ていない。


 なんのための、ゲイごっこだったのだろう?


 隼斗はなにか寂しさを覚えていた。


「彼女が出来るんじゃなかったのか?」


 誰も寄ってこない。なんのために頑張ったんだろう?


 勉強もなかなか手につかない。机に向かっても、集中が出来なかった。

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