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WーWING

第10章 男の約束

 そんな日が続いたある日……。


「隼斗!!」


 通学途中に優雅が呼び止めた。


「あ、優雅……」


 振り向いた瞬間、唖然とした。


 優雅の隣に、一人の女子が、寄り添っていた。


「え……」


「隼斗、すまん、俺から先に出来たよ」と自慢気に、その女子を示す。


「は?」


「告白されてさ、付き合うことになったんだ」


「ええーっ!」


 隼斗はその女子を知っていた。


 天野美千留(あまのみちる)、優雅と同じクラスの女子だ。


「えっ!? ちょ……マジで!?」


 隼斗は驚愕した。


 なぜ、優雅が?


 体毛が濃くて、不細工で、変態で、体臭がすごい。


 そんな優雅になぜ?


 美千留が優雅の腕にしがみついた。


「だって、心優しくて、強いんだもん。それだけで充分だよ」


「やっぱりさ、女子は見てくれてるんだよ」


「でも、相羽くんとラブラブだったんじゃないの?」


「だからそれは、笑わせようとしてやったギャグなんだよ」


 遊びだった……まあ、そうだけど……そんな気持ちが、隼斗にあった。

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