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WーWING

第10章 男の約束

 自分を思っての優雅の行動、それは嬉しくもあり、複雑でもあった。


 優雅は男を貫いた。約束を選んだ。考えてみれば、本当にまっすぐな男だ。


 自分は女には好かれない。いや、今は誰にも好かれていない。


 唯一、自分を大事にしてくれる者がいる。


 優雅。羽佐間優雅。


 二人で羽ばたくからこその、WーWING。


 誓い合った男同士の固い絆。


 隼斗の心には、優雅がいた。


 彼女を作るためとはいえ、やや破天荒な方法だとも思ったが、自分は優雅を信じてついてきた。


 間違ってはいなかった。


 優雅には彼女が出来たんだ。


 自分も、間違いじゃなかった。


 大事な親友以上の存在が出来たから……。


「優雅……優雅……」


 隼斗の目から、涙が溢れ出した。


『どうした、隼斗。お前らしくない』


「なんか、知らないけどさ……嬉しいんだよぅ」


『なに言ってんだ。まだ、お互いの夢、叶ってねえだろ』


「いや、もう、優雅さえいてくれたら、それでいいよ」

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