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第10章 男の約束

「もう一度聞くけど、設定とかじゃなく、本当にお父さんの子なんだな?」


「嘘じゃない。お前は俺と出舞子の子供だ」


「でぶこって、この写真の人か!? よくこんな名前つけられて一生を棒にふらなかったな」


「いや、隼斗。出舞子はこの人のニックネームだ。本名は白鳥沢アンジェリカだ」


「名前は人を選ばないんだな」


「隼斗……それはお前もだ」


 改めて、自分には救いはないと、隼斗は思った。


「実はな、隼斗。俺はこの出舞子に逆ナンされてな。で、最後までやっちゃって、子供出来たから責任取れって、修行先の寺までやってきてな」


「修行の身でやったのか!?」


 出来れば、この親とは他人でありたかったと、隼斗は、今思った。


 今さら、この出舞子に会いたいとは思わない。向こうが会いたいなら、会ってもいいが、おそらく出舞子にとって、自分の存在は黒歴史になっているだろう。


 雲幸は、知人男性に協力を持ちかけ、出舞子との間に出来た隼斗を、養子にしてと頼まれたことにして、母、富美子と相談して、本当に養子にすることにした。

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