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第10章 男の約束

 雲幸が、1枚の写真を懐から出した。


「これが、お前の本当のお母さんだ」


 隼斗は写真を受け取り、写った女性の姿を見て、絶句。


 力士と見間違うほどの、体格。頬の肉に潰され、細くなった瞳。


 周りに写る人は、みんな長袖の衣類を着ているのに、一人だけ半袖。


「これ、完全に俺の母さんだよね!? てか、よくこれを抱いたな!?」


「お父さんは当時、どうにかしてたんだ……」


「いや、勇気ありすぎる行動に拍手だ」


「だから、帰ってこい。書面上は養子だが、お前は俺の実の子だ」


「なるほど、て、ことは、美晴と輝基は完全に母さん似か。まあ、一人でも血の繋がったのがいて、ホッとするよ」


 隼斗は大きなため息をついて、項垂れた。


「今まで黙ってて悪かったな。本当にすまなかった。でもな、俺とお前が本当は実の親子だってのは、母さんには内緒だぞ」


 雲幸は深々と頭を下げた。


 そして、隼斗の背中をポンと触れる。


「母さんはな、お前を養子だとは思ってない。下の二人と同じように、実の息子と思って今まで過ごしてきたんだ。だからお前も、母さんを実の母親と思って、これから過ごしていけ」

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