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WーWING

第3章 俺達、WーWING

 朝から転がる様に、ほぼ球体型の隼斗が目を覚ます。


 大きなあくびで部屋中の酸素を吸うと、二段ベッドの上で寝ている、弟の輝基が酸欠をおこす。


「どうした輝基? いきなり咳き込んで……」


 とりあえず心配する。


「なんか、わかんないけど……急に息苦しくなった」


 白のタンクトップ姿で半身を起こし、髪をかきあげたあと、大きく背伸びをする。


 隼斗のベッドの下には、たくさんの週刊の漫画雑誌が積まれてある。


 ベッドの底が、抜けないようにする補強だ。


 輝基が下りてくると、フワッとコロンの香りが鼻につく。


 隼斗は鼻を指でこする。


「デパートの1階じゃねえんだからよ……」


 コロンというアイテムを躊躇なく持てる弟との間に、次元の違いを感じた。


 やつは、女を匂いで誘き寄せているに違いない。


 だが、それはモテないやつがすること。


 輝基はいつアイドルのオーディションに出しても、おかしくないほどのイケメン。


 コロンなんて必要なのか? つけなくてもいいだろう。


 自分だと、つけることが許されないような気がした。

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