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WーWING

第4章 互いに結ぶ?

 昼休み。


 食事を早めにすませ、二人は講堂の裏にいた。


「これが、俺達WーWINGの台本と見ていい」と優雅は殴り書きのノートを出した。


「いいの? 数学って書いてるけど」


「問題ない」


 いや、問題ないわけがない。


 受験生の隼斗は、特にそう思う。


「とりあえず隼斗、これに目を通してくれ」 


 隼斗はノートを受け取り、1ページからめくって見る。


 字が殴り書きすぎて、読めない。


 芸能人のサインの書き方で、文章を綴っているようだ。


「あの……優雅……“あ”と“の”しか読めない」


「それは、俺がサインの練習をしたときの落書きだ」


 なにをしているんだ?


 しかも、数学のノートに数を書くこともなく、いきなり己のサインとは……なら、数学と表紙に書くことはないだろう。

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