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WーWING

第6章 ディープインパクト

 言いたいことは、わかる。だが、共感ができなかった。


 彼女が出来るのは嬉しい。


 だが、この後、周りにどう説明すればいい?


 同性愛者、ゲイだのホモだの言われるのはゴメンだ。これが、フリとわかっていても……。


 始まりのチャイムが鳴った。


「じゃ、隼斗、また後でな」


 優雅は、自分から手をほどく。


「あ……あぁ」


 なぜか、ホッとした。だが、一人になれば周囲の目が一度にこっちにくる。


 しかし、優雅は、後でなと言い残してから、目を閉じてつっ立っている。


「……優雅、いかないの?」


「はぁ? なに言ってんだよ。しばしの別れのキス待ってんだよ」


「は、はぁ?」


 なにを言い出す?


 ここは学校だ。手を繋いで、見つめあうだけでもかなり厳しいのに、ここでこのタイミングで次のミッションに移るなんて、まるで自殺未遂。


 昨日のバス停でのキスを、思い出した。


 あれは、周りに人がいないから出来た。


 いま、注目されっぱなし。


 注目されてるんだから、もういいだろう。

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