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WーWING

第7章 二人だけ

 それを聞いて、隼斗は昨日の出来事を思い出した。


 トラウマ……。


 出来れば消し去りたい記憶。忘れたら忘れたで、また同じことをするかもしれない。


「よし、行くぞ」


「どこに?」


 優雅が前に立ち、堂々と先頭を歩く。


 隼斗はそのあとから、訳がわからぬまま、ついていく。


 商店街を抜けてからさらに、徒歩10分。


 優雅は足を止めた。


「ここだ」


「えっ!?」


 優雅が立ち止まった場所を見上げる。


「HOTEL 桃色クリーム?」


「ここが、実行場所だ」


 優雅は歯をキラリとさせて、両手で示した。


「え、ここって……優雅……」


「そう、夢の場所。ラ〜ブホ〜テル〜」


「いや、夢じゃないよっ!!」


「そう、現実だっ!!」


「意味が、違うよっ!! 夢の場所って、ディズニーランドみたいに言うけど、ようは男女が過ごす場所でしょ!?」


「そうとは、限らん。愛しい者同士が入る場所だ」


 隼斗は、ある種の恐怖を感じた。


 ここに一緒に入ってやること……つまり、アレしかない。

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