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雪に咲く花

第9章 悲劇ふたたび

シャワー室に入るとボディーソープがなくなるほど使い、何度も身体を洗った。
「うっ……、ひっ…く、うっ、うわぁ!」
シャワーの流れに平行するように涙が次々あふれ、大声で泣き始めた。
「なんでっ?なんでっ俺ばっかり……」
もしも自分が母に似たぱっちりした瞳じゃなかったら、
真っ白い肌じゃなかったら、
小柄で華奢な身体じゃなかったら、
兄や颯人みたいに男らしい容姿だったら、
こんな酷く残酷なことはされなかったのだろうか?

シャワーの湯を浴び、うずくまりながら、しばらく泣き続けていた。

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