kiss & cry
第6章 x J メイドな男の娘
N「失礼します。ご主人様。
お紅茶をお持ちしました。」
J「ありがとう。そこに置いておいてくれ。」
今回の設定は主人とメイド。
ベタでありがちだけど
なんだかんだ言って人気のシリーズ。
今時メイドカフェ以外で
メイドなんかいんのかよ?
なーんて毒づきながらも、カメラの前では
ニッコリ女の子の顔して笑ってやる。
なんてったってこのシリーズは俺にとって
金の成る木シリーズだからな。
N「他にもなにか、お手伝いできることは
ありますでしょうか? 」
小首を傾げて潤くんを覗き込む。
台本ではこの後、
性欲処理を手伝ってほしいとかなんとか言って、
いきなりベッドに押し倒されて、
あとはご主人様のやりたい放題てな感じ。
いつ押し倒されてもいいように少し身構える。
J「二宮、こちらに来なさい。」
台本の台詞ではないアドリブに、
一瞬迷って足を踏み出すと、
素早く腰を引き寄せられた。
J「ふふ、これあげる。」
N「…キャンディ?ですか? 」
潤くんの手のひらで金色の包み紙が
カサ、と乾いた音を立てる。
J「チョコレートだよ。紅茶のお礼だ。」
…怪しい。怪しすぎる。
N「ありがとうございます。 でも仕事中ですので…」
ニコニコと笑顔で拒絶すると、
潤くんもニコニコと笑顔で
腰に添えた手にグッと力を込めた。
J「ふーん。じゃあ俺がたーべよ。」
そういって器用に片手と口で包み紙を剥がすと
見せつけるように口唇で挟んで
パクッと口に含んだ。
やけに素直に引き下がった潤くんを
不思議に思っていると、
空いた手で後頭部をグイッと引き寄せられた。
N「っんんん!? 」
がっちりホールドされ、簡単にこじ開けられた咥内に
流し込まれる甘い甘い液体。
チョコ…?いや、?!
激しいキスの最中、
苦しくなってそれを飲み干せば、
ジワっと喉が焼けるように熱くなった。
N「っ、んは…、」
ウィスキーボンボン?
J「美味しい?」
N「はァ…ご主人様、美味しいです…」
J「ふふふ、それ、媚薬入りだからね♡」
…ビヤク?……媚薬?!