kiss & cry
第12章 xJ 浴衣で愛されて
「せーんぱい♡」
撮影のためにやってきたスタジオで
声をかけられ振り返ると、
にこにこと高い位置から俺を見下ろす後輩。
N「…ぁあ、なんだお前か。」
「なんだってひどーい。
お前じゃなくて慧ちゃんですー。」
口元抑えて小首を傾げて、って
完全にお前狙ってやってんだろ。
N「あー、はいはい。撮影?だよな?」
自分できいておきながら、
ここに来る目的なんか
それしかないだろうと結論づけた。
「あー、そうなんですぅー。
今日僕アイバさん?となんですよ。
二宮くん、前に撮ってましたよねー?
どんな感じですかー?」
ーーーーーアイバサン
予期せぬ名前に思わず返答に詰まる。
N「どんなって……」
「なんか優しそうな顔してるけど、
エッチになったら激しそう〜♡
僕、顔は割とタイプかも〜♡」
キャッキャと嬉しそうな慧を尻目に
俺のテンションはだだ下がり。
N「・・・・有岡に伝えとくわ。」
「え!?うそうそ!!!嘘だからぁあ!
二宮くんそれだけはやめてぇえ!」
N「今日俺んとこのスタッフだったもんな?
よろしく伝えとくよ。じゃ。」
まだ後ろで騒いでる慧は無視して
その場を去った。
ちなみに有岡は撮影スタッフであり
慧の彼氏。
・・・みんな身近で済ませやがって。
業界内はそんなんばっかりだ。