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杉並メロディ。

第1章 桜

俺に自覚は無かったけど、どうやらこの肉体は、人並みより上の容姿にあるらしかった。

パーマをかけずとも縮れた髪は、言わずもがなコンプレックスだったけれど、妙にお洒落に捉えてもらえた。

目があまり良くなくて、いつも黒縁眼鏡をしていたが、それすら「イケメンメガネ男子」とか謳われて、たまに雑誌にスナップされた。

悪い気はもちろんしなかったが、実際は彼女にふられた惨めな俺は、そんな状況が皮肉でしか無いのを、ちゃんと知っていた。

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