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杉並メロディ。

第1章 桜

俺はフィーリングみたいなもので、ことりと自分は気が合うのだと、割とすぐに察した。

俺は二日目には、ことりに合鍵を持たせた。
小遣いも渡し、それで食材を買わせた。
ことりは近所の商店街で、適当に何か買ってきては、毎日夕飯を作って、俺の帰りを待っていてくれた。
ばつぐんに美味しいかと言えばそうでは無いが、ことりの料理は、俺の心に染み入るものがあった。

ずっと静かだった家が、しっとりとした温かみを帯び、柔らかな灯りをともした。
そんな、二人の迎えた春だった。

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