
ギムレット
第20章 スプリッツァー 真実(シュウ編)
それに、1,000円札以上の金を触ったこともない俺に、聞いたことも見たこともない金額の金を本当に返済することができるのか。という現実が怖かった。
「ガキ、今のお前には何がある。答えによってはお前に金を貸す気はない」
巨人男の低く呻るような声で俺はハッと我に返ったような気がして、もう一度、冷静に今日一日に起きたことを整理した。
今日一日に起きたこと。
全てをもう一度、振り返る。あの女に犯された時の痛みが俺の頭の中に残像としてよみがえった瞬間、俺は股間を咄嗟に両手でギュッと押さえた。
この男の求めている答えは1つ。その答えが今ハッキリと分かった。
「僕には……僕には、この身体があります」
