
ギムレット
第20章 スプリッツァー 真実(シュウ編)
「時が来たら、お前に貸した金は返済してもらう」
俺はない頭で金額を弾いてみたが、全く見当違いな数字が頭に浮かぶだけだった。
それに……巨人男の金額には一つの疑問があった。
なんで?俺があんな鬼畜ヤローの借金まで返済していかなければならないのかと。
俺の怪訝な顔を見て巨人男は言った。
「お前の実の父親の借金の保証人はじいさんだ。じいさん自身の入院費用はわしが友人として助けてやる。だが、お前の実の父親の借金まで無しにしてやる気はない。だが、あの男に借金を返す当てなどない。未成年の子供のお前に借金を返済する義務はないが、結局はじいさんの借金としてじいさんが背負うことになる。お前の父親が金を借りている金融機関はろくでもない闇金みたいなもんだ。お前の父親が消息を絶てばお前のじいさんに取り立て屋が回ってくるだろう」
巨人男は、俺が借金を背負うのならば、その闇金の借金をすべて返済してやる。と言った。それはすなわち、祖父を助けることにつながる。
悔しかった。
殺したいほど憎く助けたくもない鬼畜ヤローを助けることが、俺にとって大切な祖父を助けることになる。という事に……
