テキストサイズ

Deep Night《R18版》

第7章 Tiger


「お待たせ」

「待たせ過ぎだ」

車に乗り込んできた男に舌打ちをしてやると、悪びれもない笑みを浮かべる。

帳とは対立している組織に身を置く男は、昔からの友人だ。

二人は内密に手を組んで今回の大仕事を片付けようと躍起になっていた。

だが、男の所属する組織は手こずっているようでまだ時間が掛かると言われた帳は、たかが数回会った程度の哀れな女を思い浮かべた。

救いの手を差し伸べてやろうと思ったのは何故だ?と自分に問うほど、バカではない。

ちゃんと分かっているし、そこに理由もある。

過去に、あの時、あの場所で救えなかった後悔を、ただニーナに重ねてやろうとしてるだけだということを。

間違ってもニーナに惚れたからじゃないことは確かだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ