じゃん・けん・ぽん!!
第13章 会長のヒ・ミ・ツ
【会長のヒ・ミ・ツ】
――学先輩には見えていないらしい。
ケーキ屋の一角で、馬渕学と向き合いながら、晃仁はそんなふうに感じていた。
おそらく角度のせいだろう。学はノートのほぼ真上から見ているから光の反射がうまく捉えられないのかもしれない。それに対して晃仁は、机を挟んだところからノートを見ている。そのおかげか、夕日が斜めに差し込んで、それが反射するのを晃仁は見ることができた。といっても、はっきりと見えたわけではない。学がノートを閉じようとした瞬間に、僅かな違和感としてのみ感じるとができたという程度だ。だから見間違いかもしれない。
気になったのは、池田祐子のノートの一部だ。
ページが破られていた。
ということは、その破られた部分に、何かが書かれていたのではないかと二人は予想した。そして晃仁は、何が書かれていたか分かるかもしれない手を思いついたのだった。
その手に必要なものが、砂糖だった。
「砂糖を使って、どうやって知るんだよ」
と学が問いかける。やはり学には見えていなかったらしい。
「先輩。まずは角度を変えてノートを見てみてください」
「角度を変えるって」
学はよく分かっていないのだろう。でも分かっていないながらも、学なりにノートの持ち方を変えた。
ノートの下端を、下瞼をつけて見る。
「あ!」
と学は声をあげた。どうやら見えたらしい。
「そう、そうなんです」
一見真っ白に見えるページに、筆跡が残っていたのだ。
破ったページに祐子が何かを書いた時、おそらく下敷きを使っていなかったのだろう。なおかつ、相当に強い筆圧で書いたと思われる。
破ったページに書かれていただろう文字の跡が、わずかな凹みとして、その次のページに写っていたのだ。
「おまえの言いたいことは分かった。この跡だな。それで、なんで砂糖なんだ」
――学先輩には見えていないらしい。
ケーキ屋の一角で、馬渕学と向き合いながら、晃仁はそんなふうに感じていた。
おそらく角度のせいだろう。学はノートのほぼ真上から見ているから光の反射がうまく捉えられないのかもしれない。それに対して晃仁は、机を挟んだところからノートを見ている。そのおかげか、夕日が斜めに差し込んで、それが反射するのを晃仁は見ることができた。といっても、はっきりと見えたわけではない。学がノートを閉じようとした瞬間に、僅かな違和感としてのみ感じるとができたという程度だ。だから見間違いかもしれない。
気になったのは、池田祐子のノートの一部だ。
ページが破られていた。
ということは、その破られた部分に、何かが書かれていたのではないかと二人は予想した。そして晃仁は、何が書かれていたか分かるかもしれない手を思いついたのだった。
その手に必要なものが、砂糖だった。
「砂糖を使って、どうやって知るんだよ」
と学が問いかける。やはり学には見えていなかったらしい。
「先輩。まずは角度を変えてノートを見てみてください」
「角度を変えるって」
学はよく分かっていないのだろう。でも分かっていないながらも、学なりにノートの持ち方を変えた。
ノートの下端を、下瞼をつけて見る。
「あ!」
と学は声をあげた。どうやら見えたらしい。
「そう、そうなんです」
一見真っ白に見えるページに、筆跡が残っていたのだ。
破ったページに祐子が何かを書いた時、おそらく下敷きを使っていなかったのだろう。なおかつ、相当に強い筆圧で書いたと思われる。
破ったページに書かれていただろう文字の跡が、わずかな凹みとして、その次のページに写っていたのだ。
「おまえの言いたいことは分かった。この跡だな。それで、なんで砂糖なんだ」