
掟破りな恋をしよう。
第2章 彼の素顔。
「相変わらず忙しそうだねえ、千尋。」
「神咲さんって毎日あんな感じなんですか?」
「ううん。毎日ではないんだけどね。
こないだなんかね、
『誠斗、今から大阪行ってくる。
沙耶さんに伝えててくれ。』
なーんて言い残して日帰りで大阪行ってたよ。」
そうなんだ……。
でも、忙しいってことは
まわりから信頼されてるから
それだけ仕事を任せてもらえてる、って事だよね。
ましてやここ、蒼乃建設会社で働いているから
余計そうなんだろうなぁ。
私は再び先程の出来事を思い出した。
確かに、自分の不注意でつまずいて
預かった大切な書類をバラ撒いた私にも非はある。
ても、別に彼に対しては悪い事なんて何もしてないのに
さっき10Fの廊下で軽蔑したような目で
睨まれていたのはどうしてなんだろう。
仕事が好きなら、水波さんみたいに後輩のことを
もっと大切にしてもいいじゃん…………。
なんか、神咲さんって
分かんないや……………。
複雑な感情を抱きながら
私は再び作業を進め始めた。
