
掟破りな恋をしよう。
第2章 彼の素顔。
「そんな…理不尽なこと………。」
それを知った私は、いても立っても
いられなくなってしまった。
「すみません水波さん、失礼します!」
「わ!ちょ、未来ちゃん!?」
私は急いで3Fのフロアへと戻る。
少しでも彼の力になれることはないだろうか。
何の罪もない神咲さん1人だけが
この案件を抱えるなんて、そんなの見てられない。
私は駆け足で沙耶さんの元へと向かった。
「沙耶さん、あの!」
「どうしたの豊田、そんな顔して。」
「午後からの会議、私の代わりに
出ていただけないでしょうか。」
「…………自分の仕事は全て自分で片付けるあんたが
そんな事言うの珍しいね。どうしたの?」
キーボードをカタカタと打ちながら
彼女は言う。
「…神咲さんが抱えてる案件、私にも手伝わせて
いただけないでしょうか。」
私の言葉を聞き、沙耶さんは
驚きで目を丸くした。
そして、動かしていた手をピタッと止める。
「神咲の案件に…!?
でもあんた、何も関係無いじゃない。」
沙耶さんのその言葉に
私はぎゅっと拳を握りしめる。
「確かに私は何も関係無いです。
でも、何の罪も無い彼だけにこの案件を
抱えさせるなんて、後輩として見てられないです。
例え異部署の人であろうと、同期の責任は
私がきちんと取ります。」
私は自分の気持ちを嘘偽りなく
はっきりと沙耶さんに伝えた。
