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第8章 激情の渦の中で、輝く君を見た

土曜日
今日は俺が好きなバンドのライブがある日だ

最近人気のパンクバンドで激しい曲の中にも切なさが漂う楽曲が多い
全国ツアーファイナルとして、3000人キャパシティの大型ライブハウスでのワンマンライブとなっていた
チケットは即日完売だったが、先行予約で取っており整理番号も200番台と決して悪くない
今回は一人で見に行くことにしていた

グッズが欲しかったため、早めに会場に行く
販売開始の1時間前だからか人はまばらにしかおらず、列に並び時間まで待つ
その後、狙っていたタオル、Tシャツ、パーカー、ラバーバンド(ゴム製の腕輪)を買い、買ったばかりのTシャツに袖を通し、タオルとラバーバンドを装備して、残りの荷物たちはコインロッカーに預けた

ロッカーに荷物を預け、ロッカーエリアから出ようとしたときだった
ロッカーエリアに入っていく人の中に見覚えがある人がいた気がした
「えっ…?玲佳ちゃん…?」
慌てて後ろを振り返ったが、その人はすでに見える範囲にはいなかった
「まさかな…玲佳ちゃんがいるわけないよな…」
今の人は5年前のツアーTだったし、かなり本気の服装だったからな…

ただの見間違いだ、そう思って入場整列に向けて準備した

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