テキストサイズ

妖魔の憂鬱

第3章 壱星の願い事

「黒羽に任せるとして
どうしたら良いの?」

「うむ!うむ!」
見た目の若さから…いつもガキ扱いされる黒羽は、2人に頼られる事に満足して腕を組み、誇らしげに頷く。そして、ドラムロールの様に自分の膝を叩き発表した。

「デケデケデケデケデケデケ...ジャン!
僕も混ぜて、5Pしてょ!」
「あっはははっ!!」

突拍子もない事を言い出す黒羽と、大笑いしだす優月。箸が転がっても可笑しい年頃と言うのは、驚くと優月の様な反応を見せるのだ。

「…やっぱりですか・・・」

その中で、1人「あり得ない」と言いたげに首を横に振る壱星。それを見て、焦った様子で喋る黒羽は、壱星を怒らせまいと必死で説明を続けた。

「違う違う!ふざけてるんじゃないよぉ~っ!僕の霧の中に4人が居てくれたら、壱星と優月の存在だけ、夫婦の記憶から消せるでしょ?そしたら声や気配だけが残る…
ね!?良い考えだと思わない?」
「おぉ~!
それ良いかもぉ~やるじゃん黒羽」
「無理ですよ…優月が、接触する時間と、俺達が受精する時間は、どうしてもズレてしまう・・・。」
「同じ日に同じ場所に居れば…。
人間の記憶なんて矛盾を抱えると、本人の都合の良い様に書き替えちゃうんだ!時間の穴が開いた事なんて僕がなんとかするよぉ~」

納得のいった様子では無い壱星だが、対抗できる案が思い浮かば無い以上…肯定するしか無かった。

「…最良の方法では、有りませんが…
最善の方法と言えるかもしれません・・・」
「やったぁ~!!
んじゃ日にちは僕の気が一番強くなる、秋中の満月ねっ!場所は─────...」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ