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妖魔の憂鬱

第7章  

黒羽達を拒絶するその声は、耳からでは無く脳に直接語りかけられる様だった。

例え招かれざる客だったとしても、誰かに話し掛けられた事が黒羽には嬉しかった様子で…非常事態にも関わらず笑みを浮かべた黒羽の警戒心は皆無に見えた。

「探し物してるんだ!
最近、突然大きく育った木は無い?ピューって…光!そぅ光る種から木が育たなかった?」

「今すぐに、ここから居ね
さすれば見逃してやろう」

全く噛み合わない会話に、黒羽は食い下がる。
「待ってょ…」
両手を上げてゆっくりと立ち上がり、ナニカに自分は無害である事を伝えようとした。

だが次の瞬間、黒く大きなナニカが黒羽達のすれすれを飛ぶように通りすぎた。飛んで来たナニカに驚き、黒羽は社を庇う様に上から覆い被さった。

音もなく着地したナニカは、即座に振り返り黄色に輝く瞳で黒羽達を睨み付けた。その鋭い眼光に黒羽は息を呑み、動けずに居た。

そして、だんだんとナニかの全貌が明らかに認識出来る様になっていく…銀色の毛で覆われた鋭い牙をこちらに向けて威嚇しているのは、銀狼だ。さらに、だんだんとピントを広げていくと…黒羽達の回りはぐるりと銀狼達に囲まれていた。

「この地を
先代さまの縄張りと知っての狼藉か…?」

「飛べっ!
飛べ黒羽っ!!」


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