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妖魔の憂鬱

第2章 人成らざる者

長(おさ)からの招集に従っていれば、無駄な争いを避けるために、衣食住に必要な情報や経費を分配される、独自のネットワークが有る。

妖怪や魔物、付喪神や聖霊、空想上の生き物と呼ばれる…人以外のその者達のネットワークには、長以外の役職や階級は無い。

実力差は大いに有るし、派閥に似た付き合いは存在するが、長以外の全てが横並びで、それぞれ得意分野を活かして、長に要求される能力で貢献する。



例えば喧嘩の制裁には、長が喧嘩好きを向かわせて鎮圧する。警視総監の手下がヤクザの様な具合だ。

少し違うのは、どちらもソコに正義は無しとみなされる事。火が燃え尽きるまで潰しあって、お互い痛い思いをする。

「それでも争いが好きなら
好きなだけするが良い」
コレが歴代の長のスタンスだ。

もっとも…長の依頼を受けて動く人成らざる者達は、痛い目を見る程弱い訳が無く…問題を起こした者は、ほぼ瞬殺で鎮圧されるのが常だ。



長が迷惑な行為を取り締まると言っても、人間が考える様な事とは少し違う。生物の大量殺戮は自然災害と同じで、人成らざる者達にとって罪とは成らない。妖魔の数が多少減っても問題無いし、増え過ぎる事も又しかり。

人間を含め、種が絶える事。
それだけを避けている。


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