あたしの好きな人
第8章 新しい生命
岳人side
自動販売機でコーヒーを二つ買い、ケータイをポケットにいれて、
変わりに小さな箱を取り出す。
蓋を開けると、薄闇の中でも輝く、ダイヤモンドリング、
咲良に渡した婚約指輪だ。
……今日、これを渡そうかどうか、考えていた。
……弱ってる咲良につけこむ形になるかもしれない。
それじゃあ、意味がない。
あいつから……
俺を求めるように、ならなければ、
意味ないんだ。
公園のベンチに戻り、咲良が居ないのに、すぐに気付いた。
「……咲良!?」
……こんな消え方は、普通じゃない。
また、俺の前から居なくなる?
……俺と一緒にいると、つらいからか?
最近のあいつの笑った顔を、いつ見たのか?
俺はまた、間違っていたのか?
「……咲良!……ちくしょう!」
公園のベンチに、缶コーヒーを投げつけた。
そこにあった一枚の写真を見て、俺はただ、立ち尽くす…………。
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