テキストサイズ

ねぇ、私に好きを教えて…?

第2章 生きた屍

「星羅ちゃんは、よくここまで1人で頑張って来たよ。俺なら耐えられねぇ。
俺、人間関係で悩んだ事ない。周りが良い人ばかりなんだろうな。
喧嘩したからって縁は切れないし、喧嘩する事でより仲が深まって今では大事なダチたちだ。
…だから星羅ちゃんの気持ちわかるなんて言えねぇ。それじゃ同情になる。
ねぇ…。星羅ちゃんが背負っている荷物、俺にも分けてよ。星羅ちゃんの苦しみを俺にも背負わせてよ。一緒にさ。
俺は星羅ちゃんを裏切らない。
星羅ちゃんが俺を裏切ったとしても、俺は星羅ちゃんを突き放すことも裏切ることもしない。
約束する。
だからもう1人なんて言うな…。」


今まで生きてきたと言うより
生きてる屍だ。
生きてはいるが、屍のように
ごく普通の生活を、笑って楽しむ日常も
過ごすこともできなかった。

その暗闇から、救ってあげたい。
光を照らしてやりたい。
普通が一番幸せなんだってことを。


「…佐山さんは。
佐山さんは佐山さんのままでいてくれますか…?
変わらないでいてくれますか…?」

「俺は変わらない。絶対。」

「…もう誰も信じないって決めたんですけど、もう1度だけ。人を信じてみたいと、1ヶ月佐山さんと過ごして思わせてくれました。
…佐山さん。私に佐山さんのこと教えて下さい。」


星羅ちゃんは
寂しそうでも悲しそうでもなく
優しい顔で笑った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ