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ねぇ、私に好きを教えて…?

第1章 出会い

星羅ちゃんは俺の上着を着て
車の助手席で下を向いて座ってた。

「星羅ちゃん。これ、ココア飲んで。カイロはまだあったかくなってないから待ってて。」

「…すいません。」

「隣にいるの、俺で大丈夫?
あれなら落ち着くまで俺後ろの席にいるぞ。」

「…さ、佐山さんは大丈夫…ですか?」

「全然、大丈夫だって。気にすんな。」

「も、もう少し…だけ…。このまま…で。」

「ん。」


何があったのかなんて
さすがの鈍い俺でもわかった。
手足は痣だらけ。片目腫れてて。
誰がどう見ても、殴られたのがわかる。



「何度も、助けていただいてすいません…。だいぶ落ち着きました。すいませんでした…。」

「そ、身体は寒くない?車の暖房ガンガン入れてるけど。」

「大丈夫です。」

「星羅ちゃん、一人暮らしだったよね?
実家どこ?」

「両親とは疎遠なんです…。」

「うーん、なるほどねぇ。仲の良い友達は?」

「いません…。」

「そっか…。んー…。」

「あ、佐山さん…。大丈夫です。ここからだと家まですぐなので…。申し訳ないんですけど、この上着だけ貸していただけないでしょうか。洗ってお返しします…。」

「いやー、服とかは構わないんだけどよ…。
星羅ちゃん、俺のこと怖い?」

「…いえ、怖くない…です。」

「…よし!決めた!とりあえず星羅ちゃん、俺の家連れて帰るわ。で、俺の寝室で寝て?扉も付いてるし、寝室出てすぐリビングだから俺そこにいる。」

「い、いや…。そんな…。大丈夫で…す。帰ります…。め、迷惑かけちゃうの…で」

「そんな手震わせてる子、一人で帰らせれないでしょ。俺のこと怖いなら星羅ちゃんの友達にって思ったけど。まぁ時間も時間だし。これからのことは、ゆっくり体と心休めてから考えよう?な?」

とりあえず、俺は星羅ちゃんを
家に連れて帰った。
湯船にお湯ためて…。

テレビの音、大きくしたはずなのに
風呂場から聞こえる星羅ちゃんの泣き声の方が
大きく聞こえたけど、聞こえないフリをした。


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