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秘密の楽園 / Produced by ぴの

第6章 秘密の楽園 5

◆c


家中がしんと静まり返った今夜。


天井に目を遣れば点々と散らばるシミの痕。


そして左肩にはぴったりとくっついてくる温もりが。


あの後、互いの腹に吐き出したものを改めて見て一気に現実に引き戻された。


それはかずも同じだったようで。


真っ赤な顔で部屋を飛び出して階段を駆け下りていく音を聞きながら、ふと目線を遣った先に隠し様のない白い証拠を見つけ慌ててシーツを引き剥がした。


かずとこうして一緒に寝るなんて久しくしていなかったから。


僅かに香るかずの匂いを無視するなんてできるはずもなく。


むくりと疼きそうになる下半身。


まだ十分に余韻が残る感覚を打ち消すように、先程ふと思ったことを訊ねてみた。


「かず、あのさ…」


俺の肩にぴったり身を寄せて腕を絡ませてくるかず。


横向きのかずの頭をさらっと撫でれば"うん?"と目を上げて見つめてくる瞳。


「かずはその…いつからなの?」

「え?」

「いや…いつから俺のこと好きだったの…?」


言いながら恥ずかしくなってきて最後の方は尻窄みになってしまったけど。


だってそうじゃん。


『ずっと好きだった』って言われたけどそれいつからなの?って疑問に思うのは普通だろ。


そしたらかずはふふって笑って。


「…わかんない。気付いたら好きになってた」

「な、何だよそれっ…」


恥を承知で聞いたのに返ってきたその言葉に肩透かしを食らった様な気がして。


いや別に自惚れじゃないけどさ!


そういうの気になるじゃん…


けれど"でも…"って続けたその後のかずの言葉に頭にハテナが浮かんだ。


「俺と同じ片想いだった友達に相談しだしてからかな…もっと好きになったのは」

「…え?」

「あれ?知らない?櫻井先輩から聞いてないの?」

「えっ?何?翔ちゃんが何…?」


ガバッと体を起こしてかずを見下ろせばハッとして口を押さえたから。


「ちょ、どういうことだよっ!かずってば!」

「ふふっ、やだあっ!教えないっ」


楽しそうに笑うかずに俺も自然と笑顔になって。


俺たちの間に必然的に生まれた昨日とは違う新たな空気感。


硬い殻の中でもがき続けてやっとの思いで突き破れた今。


ただこうしてかずと笑い合えることがこんなにも幸せだなんて。



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