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ぜんぶ俺の物〜ケダモノ弟の危険な独占欲〜

第2章 嘘つき

ようやく愛撫が止まる。
体勢を保つ力さえなく、ずり落ちる私を抱きとめながら、亜貴が耳元でささやいた。
「姉ちゃん、俺が欲しい?」
太腿にあたる亜貴のソコは、硬くなっていた。
十代の頃、毎晩のように私を抱いていた、あのからだだ。
「い、らない」
あの頃の亜貴は、夜にしかこの顔をみせなかった。
日中は何があっても、たとえ私と亜貴のふたりきりになったとしても、決して裏の顔をみせたりしなかったのに。
「うそ。本当は欲しくて仕方ないくせに」
四年前とは違う、甘くささやきかける声に困惑する。
「いらない……っ」
「俺、超えっち上手いよ?」
昔は、こんなことも言わなかったのに。
何がここまで亜貴を変えてしまったのだろう。
それとも、男の子にとっては当然の成長なのだろうか。
「ねえ、しようよ」
亜貴は胸元に腕を回しながら、うなじを舐めた。
「あっ、だ、だめ……これ以上は、本当にだめ」
「しようって」
今度は頬ずりをされる。私に甘えたことなんてなかったのに。本当にどうしちゃったの。
「あ、甘えたってだめだから」
「ねえ、いいでしょ」
と、亜貴が私にすり寄りながら腰のあたりを撫でまわしていたときだ。
ベッドの下に置いていたバッグの中で、スマートフォンが数回震えた。その小さな振動は、私を現実に引き戻すには十分すぎた。
「瑛人さん……!」
「え?」
「マンションに着いたらコールしてくれるの。瑛人さんがもう、帰ってきちゃう……!」

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