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月の木漏れ灯図書館

第1章 天青

「なんで、天はあんなにも青いのかなあ」

天の青さが一段と際立つ日、神社の石段に腰かけたままそんなことを呟く。一人きりだと思ってたからそう呟いたはずだったのが、彼女の思いは途端に裏切られることになる。

「天の青さに理由がいるわけ?」

爽やかな風が吹く午後のことだった。いつの間にか背後に少年が佇んでいて、不快そうに顔を歪めている。

せっかくの美しい顔が台無しだ。

「あ」

「今度はなに」

理解できないと言わんばかりの顔も気にしない。そんなことは細やかな問題でしかないわけでーーだって。

「天の青みたい!あなたの瞳」

「ーーばっかじゃないの……」

「天くん?顔赤いよ?」

「赤くないし。あと俺は天じゃないんだけど」

「えー天くんでいいもん」

「……お前、やっぱりばかだ」

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