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月の木漏れ灯図書館

第2章 ミステリアス調石師と月夜の逢瀬

“ローズガレット”は数少ない調石師が暮らす小さな国。

調石師とはーーエネルギー源の石からただの石まで、材料となる石を探しだし、彫るのがお仕事。調石された石は主に生活に用いられ、様々な場所や目的で使われる。

調石師に憧れたのはそう、ミステリアス調石師と世間で騒がれているヨウの存在。ヨウが調石したものはどれも高値で取り引きされ、なかなか手に入らない。

調石師通信でもヨウの記事ばかりだ。

「ねぇメルー紅茶の茶葉切れてるよ。どうする?私買いに行こうか?」

キッチンの方から明るい少女の声。一緒にシェアハウスをしているエレン・ストーンは調理師見習いで、家事全般をこなしてくれる。

「わたし行ってくる……石、足りないから」

わたしーーメルディ・スノウはそんな彼に憧れて調石師を始めた。石専用の袋を腰にくくりつけながら答える。

「りょーかい。珈琲用の豆と月光花の蜜漬けもお願いしていいかなー今日のお茶菓子に出そうと思って」

「うん……買ってくるね」

蜂蜜色の淡い髪を揺らしながら、家を出る。

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