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月の木漏れ灯図書館

第11章 蒼迷の森

蒼明の蒼と蒼昏の蒼を紡ぎ合わせたような幻想の色。

森の何処からか聴こえる旋律に誘われ、時折人が迷い込む。瞳に映る世界はすべて蒼く、耳に聴こえる旋律は美しく何処までも透明。

蒼に誘われ迷い込む者を、

“蒼迷者”

神隠しから取り、“蒼隠し”とも言われる。この現象を調査する学者たちの中で、一部の 学者は一種の現実逃避で、幻想病じゃないかと発言した者もいる。


これは現実か幻想かーー


還ってきた者は今も、蒼に囚われているという。


そんな中ひとりの少女が告げた。


「とてもきれいな蒼い髪のお兄さんがうたってたの。ずっと、うたってたの」


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