子供じゃない…上司に大人にされ溺愛されてます
第7章 愛され過ぎて
涼くんとの新しい生活が始まった。
高級タワーマンション。
引っ越しも完了して、今日からデザイン開発課に行く、
初出勤だ。
昨夜は興奮して眠れなくて、涼くんよりも先に出勤する。
会社までは歩いて行ける距離で、エントランスを出た瞬間に、
足が止まる。
すらりとしたスタイルに、後ろ姿でさえも分かってしまう、
その存在感、身体中から滲みだしてるような、男の人の色気。
……誠也さんだ。
……どうしよう。
同じマンションでも、住人の数は多いし、時間も不規則だから、
そんなに会うことはないんだと、思っていたのに。
落ち着かない心臓。
姿勢正しく歩く後ろ姿を見て、他の道を行こうかと思い、
知らないことに気付いた。
この道は、誠也さんと何度か一緒に歩いた道だから……。
誠也さんの歩幅は大きくて、あたしとの距離は離れて行く。
一緒に歩いた時は気付かなかった。
あたしと歩く速度まで、合わせてくれていたんだ。
あんなに早いのに。
この距離が、今のあたし達の距離なんだ……。
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