堕ちる
第2章 エピローグ
僕は合格発表が行われているその場で、莉菜さんに正式に付き合ってほしいと告白し、すると莉菜さんは、涙を流しながら頷いてくれたのだった──。
「今の莉菜さんは、今の僕の理想の人ですから。だからこそ、ああいう風に迫ってくることはなくて……だったら、僕と深い関係になることはなかったと思います。きっと僕も、情けない人間のままだったと思います」
「でも、そんな風に考えると、昔の私に敵わないみたいで、ちょっと悔しい気もするかな」
「そんなこと……。今の莉菜さんのそばには、今の僕がいる。それじゃ駄目ですか?」
訊ねると、莉菜さんは首を横に振った。
「ね? 今日は帰るつもりだったけど、やっぱり泊まって行っていい?」
暗い中で、色を帯びた目を輝かせて、莉菜さんが訊ねてくる。
「はい。ぜひ泊まって行ってください」
今の莉菜さんは、昔のように体裁や道徳を無視することはしない。
ただ、いざ本番となると、昔と同じ、奔放で、積極的な莉菜さんに変貌を遂げる。
そこも、間違いなく、今の僕の理想だった。
ちょうどタクシーが通りかかり、僕と莉菜さんは、二人して乗り込んだ。
おわり。
「今の莉菜さんは、今の僕の理想の人ですから。だからこそ、ああいう風に迫ってくることはなくて……だったら、僕と深い関係になることはなかったと思います。きっと僕も、情けない人間のままだったと思います」
「でも、そんな風に考えると、昔の私に敵わないみたいで、ちょっと悔しい気もするかな」
「そんなこと……。今の莉菜さんのそばには、今の僕がいる。それじゃ駄目ですか?」
訊ねると、莉菜さんは首を横に振った。
「ね? 今日は帰るつもりだったけど、やっぱり泊まって行っていい?」
暗い中で、色を帯びた目を輝かせて、莉菜さんが訊ねてくる。
「はい。ぜひ泊まって行ってください」
今の莉菜さんは、昔のように体裁や道徳を無視することはしない。
ただ、いざ本番となると、昔と同じ、奔放で、積極的な莉菜さんに変貌を遂げる。
そこも、間違いなく、今の僕の理想だった。
ちょうどタクシーが通りかかり、僕と莉菜さんは、二人して乗り込んだ。
おわり。