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狸の詩~漢情~

第8章 殺生

知的で詩人な歌姫が時代劇を見て言った。

殺生はよくないよねと。

殺生はよくないに決まっている。
だが、人は殺生なしでは生きていけない。

生活の空間にそれを脅かす虫が出たら殺生するしかないし、特にゴキブリは絶対殺さなくてはならない。

そんなことを歌姫に教えてあげた。

それから、男子というのは日々殺生をしないと生きていけない動物だ。

ケダモノになり果てないためにも日々殺生を繰り返す。

そのことは歌姫には伝えられなかった。
歌姫はまだ中学生。

大人になったら伝えてあげようかな。
いや、伝えるのはよそう。
歌姫にはそんなことは知らず神秘的で美しくいてほしい。

いや、もう知っているのか・・もう中学生。

真相は歌姫の美しい歌に乗って流れていった。

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