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愛し方

第4章 * ペース



『ねえ、待ってよ』


後ろにアノ人がついて来た


「なんですか。」


『少しくらい話さない?』


「もう帰りたいんで」


すると彼は私の腕を掴んで引き止めてきた


「ッ…!触んないでよ!!」


酔いも回っていた私は咄嗟に彼の頬を手のひらで叩いてしまった



『ぃってえ…。』


「し…しつこい…から…」


『ふざけんな。』


低い声で私にそう言い腕を引っ張ってあろう事かすぐ近くのホテルに連れていかれた


低い声が耳から離れなくて少し怖くて拒否も出来ないまま部屋に入った


「さっきのはすみません。やりすぎました。ごめんなさい。」


『なんでそんないきなり態度変えんの?』


「さすがにやりすぎたから…っ」


『うん、やりすぎ。だから俺にもやりすぎなことさせてよ。』


そういうと私と彼の距離を一気に縮め唇までも重なった


『さっきの酒の味すんね。美味しい』


「…あなたはキス。私はビンタ。これでおあいこ、じゃあ帰ります。」


『そういう生意気な態度取られるともっと魅力感じる』


彼はそう言ってドアノブに手をかけた私を後ろから抱き寄せて私の首に顔を沈める


少し酔いも回っている私には興奮する材料でしかなかった


不意に向かい合わせにさせられて彼の目と私の目がバッチリと合う


私はすぐに目を逸らした、このままだと彼のペースに持っていかれそうだから。


『目、少しとろけてきてる。だんだんその気になってきたんでしょ?』


「もう…帰る。」


『待って、じゃあ最後にキスだけ。』


彼はキスの直前で顔を止める


『ねえ』


「?」


『彼氏いんの?』


「いや。」



『そ。てかこういう場所に来るとあんま嫌がんないんだね。』


「…」


『まあ今更拒否できねえか、キミからどんどん顔近づけてきてっから。笑 』


無意識に私は前のめりになって彼との唇に重ねようとすることに夢中になっていた


そんなつもりは全くなかったのにただ体が勝手に動いていた


『ほんとは待ってたんじゃない?』


どんどんと彼のペースに持っていかれて簡単にベッドに押し倒された

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